死を迎えると、患者さん本人への医療は終わります。しかしながら、家族には深い悲しみが残ります。その悲しみを何とかしようという取り組みがあります。長寿時代へ突入したとはいえ、若い死別、不慮の死別というのは0ではありません。

長寿が一般化しつつあるからこその悲しみの深さというものもあるでしょう。特に医療の現場で注目されている死別の悲しみとして、複雑性悲嘆というものがあります。

愛する人を失った悲しみが、死別から半年以上経っても日常生活に支障をきたすという状態です。診察ではうつ病と診断される事もしばしばあります。悲しみ・関心の低下など、うつ病と共通する点が多いのです。

ご家族をがんで亡くし、一日中ぼーっとしてしまう。顔も洗う気力も、ご飯をつくる気力も起きない。病院で診てもらい抗うつ薬を処方されたけど効果がない。

このような場合、浮かんでくるのは複雑性悲嘆の可能性です。区別が難しい病気ですが、ここをいかに見分けるかが大切になってきます。